株式会社FMCC(Fatigue and Mental Health Check Center)

2-10:自律神経系をサポートする補助的療法

1. ヨガと瞑想の効果:
ヨガや瞑想は自律神経系のバランスを整え、ストレスや不安を軽減する効果があります。一部の研究では、ヨガの実践者は座っている人よりも自律神経系のホメオスタシス能力と自律神経のレジリエンスが高いことが示されています。また、瞑想のモニタリングには心拍変動(HRV)分析アルゴリズムが提案されています。これは自律神経系の活動を定量化するためのもので、瞑想の効果を評価する一つの手段とされています。


2. 音楽療法とリラクゼーション:
音楽療法は自律神経系の調和を促進し、心拍数や血圧、ストレスホルモンのレベルを下げる効果があります。音楽と自律神経系との間には相互作用があり、音楽が自律神経系の活動に影響を及ぼし、物理的、感情的、認知的健康に寄与することが示唆されています。


3. バイオフィードバックと自律神経:
バイオフィードバックは自己の自律神経系の活動について学ぶ方法で、心拍数や筋肉の緊張などの身体の特定の機能をモニタリングします。バイオフィードバックトレーニングはストレスへの反応を変える行動療法の一種で、症状(例えば、痛みや筋肉の緊張)の軽減に非常に成功しています。さらに、このトレーニングは精神療法と組み合わせて使用すると、特に持続的な効果があります。


4. アロマセラピーと自律神経の調整:
アロマセラピーは特定のエッセンシャルオイルの香りを利用して心と身体をリラクゼーションさせ、ストレスや不安を和らげ、より良い睡眠を促します。エッセンシャルオイルの吸入は、オルファクトリ(嗅覚)系への信号を伝え、脳を刺激して神経伝達物質(例えば、セロトニンやドーパミン)を分泌させることで、気分を調節します。ラベンダーやレモン 、ベルガモットなどの各種エッセンシャルオイルは、ストレス、不安、抑うつ、そして他の気分障害を軽減するのに役立つとされています。


5. マッサージ療法:
マッサージ療法は身体の筋肉をほぐすだけでなく、自律神経系にも影響を与えます。特にストレスや緊張を感じている時、マッサージは自律神経系の活動を調節し、リラクゼーションを促すことがあります。ただし、マッサージが自律神経系に与える影響についての科学的な研究はまだ限られています。


これらの補助的療法は、自律神経系のバランスを整え、ストレスを管理し、全体的な健康と幸福感を向上させるための重要なツールとなり得ます。ただし、個々の人に最適な療法は、その人の具体的な症状、生活習慣、健康状態などにより異なります。したがって、これらの療法を試す前には、医療専門家と相談することが重要です。


医師:倉恒弘彦(くらつね・ひろひこ)
プロフィール
大阪公立大学医学部客員教授として、疲労クリニカルセンターにて診療。1955年生まれ。
大阪大学大学院医学系研究科 招へい教授。
日本疲労学会理事。著書に『危ない慢性疲労』(NHK出版)ほか。

 

 

 

↑トップに戻る

プライバシーポリシー | ©2020 FMCC Inc.