株式会社FMCC(Fatigue and Mental Health Check Center)

2-2:自律神経系の概念と役割

1. 自律神経系とは何か?
 自律神経系とは、我々の体内で不自覚に働いている神経のシステムのことを指します。心拍数の制御や消化、呼吸など、日常的な生命活動を自律的に調節します。この神経系は、大脳皮質の意志には独立して作動し、その名前が示す通り自律的な機能を果たすことから「自律神経系」と呼ばれています。生命を維持するための基本的な機能を担っており、その重要性は計り知れません。


図:自律神経と体の組織との関係 厚生労働省ホームページより引用 https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000057153.pdf

2. 自律神経系の主要な機能:
自律神経系の主要な機能は、内臓や血管、腺などの活動を自動的に制御することです。これには心拍数の調節、血圧の維持、体温調節、消化作用、呼吸といった生命維持に直結する機能が含まれます。また、ストレス反応やリラクゼーションといった感情の調節も担っています。これらの機能は、日々の生活の中で私たちが意識することなく行われており、自律神経系が適切に作動しているからこそ、私たちは健康な生活を送ることが可能です。

3. 自律神経系の2つの主要な部分:
交感神経と副交感神経 自律神経系は、交感神経系と副交感神経系の2つの部分から成り立っています。交感神経系は、身体を活動的な状態へと調整します。「戦うか逃げるか」の反応を引き起こす「ストレス反応」はこの交感神経系により制御されます。一方、副交感神経系は「休息と消化」の反応を引き起こし、身体を落ち着かせ、リラクゼーション状態へと導きます。これらは一見反対の役割を果たしているように見えますが、実際には互いに協調して体内のホメオスタシスを維持しています。

4. 自律神経系と他の身体システムとの相互作用:
自律神経系は体内の他のシステムと連携し、総合的な健康と機能を支えています。これには、免疫システム、内分泌システム、そして中枢神経系との相互作用が含まれます。例えば、感染症やストレスに対する身体の反応は、自律神経系が免疫システムや内分泌システムと連携し、適応的な反応を引き起こすことで実現されます。さらに、自律神経系は脳と密接に連携し、私たちの感情や思考が身体の反応に影響を与えることを可能にしています。このように、自律神経系は、身体の他のシステムとの密接な相互作用を通じて、私たちの生活における健康と機能を総合的に支えています。以上の説明が、自律神経系の重要性と、それが身体の他のシステムとどのように連携して働いているかを理解するための基礎となることでしょう.

 自律神経系は私たちの健康と日常生活において中心的な役割を果たしています。心拍数、消化、呼吸などの重要な生命活動を自動的に調節します。交感神経系と副交感神経系のバランスが重要で、これらはストレス反応とリラクゼーションを制御します。また、自律神経系は免疫システム、内分泌システム、中枢神経系と連携し、全身の健康を維持します。これらの知識を基に、自分の体の調和と健康を保つための生活習慣を見直すことが重要です。


医師:倉恒弘彦(くらつね・ひろひこ)
プロフィール
大阪公立大学医学部客員教授として、疲労クリニカルセンターにて診療。1955年生まれ。
大阪大学大学院医学系研究科 招へい教授。
日本疲労学会理事。著書に『危ない慢性疲労』(NHK出版)ほか。

 

 

 

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