株式会社FMCC(Fatigue and Mental Health Check Center)

2-3:自律神経系と健康

1. 自律神経系の影響と健康への意義:
自律神経系のバランスは、私たちの全身の健康状態に深く影響を与えます。心拍、血圧、消化、呼吸などの基本的な体機能を制御しているため、自律神経系の不調はこれらの体機能に影響を及ぼし、体調不良を引き起こす可能性があります。また、自律神経系はストレス応答にも関与しているため、精神的な健康にも大きな影響を与えます。自律神経系が適切に機能することは、身体の健康だけでなく、心の健康にも不可欠です。

2. 自律神経系の不調とその影響:
自律神経系の不調は、多様な症状と疾患を引き起こす可能性があります。不安、頭痛、めまい、消化器系の問題、不規則な心拍、息切れなど、体調不良の一部は、自律神経系の不調に起因することがあります。重篤な状況では、自律神経系の不調は心臓病や糖尿病といった生活習慣病を引き起こす可能性もあります。


図:自律神経機能の失調に伴う症状

3. 自律神経失調症とその対応:
自律神経失調症とは、自律神経系が適切に機能しない状態を指します。その症状は多岐にわたり、心の動揺、不安、倦怠感、睡眠障害、消化器症状など、体全体に影響を及ぼすことがあります。これらの症状は、生活の質を大きく低下させる可能性があるため、早期に対処することが重要です。

4. 自律神経系の管理と心身の健康:
自律神経系は心身の健康と密接に関連しています。心地よいリラクゼーション状態を作り出す副交感神経と、緊張やストレス状態を調節する交感神神経は、バランス良く作用することで私たちの健康を維持します。しかし、長期間にわたるストレスや過度の緊張は、このバランスを崩し、心身の健康を損なうことがあります。その結果、自律神経失調症や心身症といった症状が現れることがあります。ですから、自律神経系のバランスを保つことは、心身の健康を維持する上で非常に重要となります。リラクゼーション技術の学習や、適度な運動、バランスの良い食事、十分な睡眠などを通じて、自律神経系の健康を維持することが心身の健康につながります。


図:自律神経バランス(交感神経/副交感神経比)と身体反応

5. 自律神経系の構成と働き:
自律神経系は、心拍、消化、呼吸など、私たちが意識しない身体の機能を調節します。これは、感じる(感覚神経)、考える(中枢統合システム)、行動する(運動神経)という3つの部分で構成されています。自律神経系は、交感神経系と副交感神経系の2つの部分に分けられます。交感神経系は「戦うか逃げるか」の反応を引き起こし、心拍数や血圧を上げて身体を危険から守ります。一方、副交感神経系は「休息と消化」の反応を引き起こし、身体をリラックスさせ、エネルギーを補給します。

6. 自律神経系の健康維持と改善策:
自律神経系の健康を維持し改善するためには、リラクゼーション技術を学び、適度な運動を行い、バランスの良い食事を摂り、充分な睡眠を確保することが重要です。これらの生活習慣の改善は、自律神経系のバランスを保つことにつながり、心身の健康をサポートします。また、既存の病状による自律神経系の不調を改善するためには、適切な医療ケアが必要です。医療専門家と一緒に適切な治療計画を立てることで、自律神経系の健康を維持し、より良い生活の質を実現することができます。

 自律神経系は私たちの心身の健康に重要な役割を果たしており、そのバランスの維持が重要です。生活習慣の改善や適切な医療ケアにより、自律神経系の健康を維持し、身体と心の健康を最大限に引き出すことが可能です。


医師:倉恒弘彦(くらつね・ひろひこ)
プロフィール
大阪公立大学医学部客員教授として、疲労クリニカルセンターにて診療。1955年生まれ。
大阪大学大学院医学系研究科 招へい教授。
日本疲労学会理事。著書に『危ない慢性疲労』(NHK出版)ほか。

 

 

 

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