株式会社FMCC(Fatigue and Mental Health Check Center)

2-7:睡眠と自律神経系の関連性

1. 睡眠の質と自律神経系:
良質な睡眠は自律神経系の健康を維持する上で必要不可欠です。睡眠中には、自律神経系は体内のリズムを整え、心身を回復させるために必要なプロセスを行います。具体的には、副交感神経系はエネルギーを温存し、体を回復させる役割があります。副交感神経系は、心拍数を減らし、血圧を低下させます。また、消化管を刺激して、食べ物の消化や不要物の排泄を促します。食べ物から吸収されたエネルギーは、組織の修復や形成に利用されます。

2.睡眠障害と自律神経系:
睡眠障害は自律神経系のバランスを乱す可能性があります。具体的には、睡眠が不足または中断されると、交感神経系の活動が過剰になり、ストレス反応を引き起こす可能性があります。交感神経系の活動が過剰になると、心拍数が増加し、心臓の収縮力が高まり、呼吸がしやすくなるように気道が広がります。これにより、体内のエネルギーが放出され、筋肉に大きな力が入るようになります。この状態は、体が「闘争・逃走反応」を起こしていると解釈できます。一方、副交感神経系の活動が抑制されると、体のリラクゼーションや回復機能が低下します。これらの変化は、長期的には健康問題を引き起こす可能性があります。
 41名の大学生について睡眠と自律神経との関係について調べたところ、交感神経と副交感神経の活動量を合わせた自律神経全体の活動量(log(LF+HF)は客観的な指標を用いて調べた夜間睡眠効率とは正の相関が認められ、睡眠効率が低下している学生は自律神経活動が低下していることがわかりました(図)。


3.睡眠習慣の改善と自律神経の安定:
質の高い睡眠を確保するためには、良好な睡眠習慣の確立が重要です。一定の就寝時間を設定し、リラクゼーションのテクニックを利用するなどの手段で、自律神経系のバランスを整え、深い睡眠を促進することができます。 睡眠とリラクゼーションのテクニック: リラクゼーションのテクニックは睡眠の質を向上させ、自律神経系のバランスを保つのに役立ちます。ヨガ、瞑想、深呼吸などのテクニックは副交感神経系を活性化し、リラクゼーションと良質な睡眠を促進します。これらのテクニックは自律神経系の調節に有効であり、健康な生活をサポートします。

 自律神経系と睡眠の健康を最適化するために、定期的な睡眠スケジュールを作り、リラクゼーション技術を活用することが重要です。これにより、深い睡眠が得られ、生活の質が向上します。


医師:倉恒弘彦(くらつね・ひろひこ)
プロフィール
大阪公立大学医学部客員教授として、疲労クリニカルセンターにて診療。1955年生まれ。
大阪大学大学院医学系研究科 招へい教授。
日本疲労学会理事。著書に『危ない慢性疲労』(NHK出版)ほか。

 

 

 

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